
Masashi Sasaki
2025年3月12日
筋膜と解剖学(Fascia and Anatomy)
noteに以下の内容の記事をアップしました。
冒頭をご紹介いたしますので、ご興味ある方は下記のリンクよりご覧ください。
https://note.com/masashi_sasaki/n/ncdfaceca1624?sub_rt=share_pw
「すべての始まりには筋膜がある。」⸻
1. はじめに(Introduction)
この章では、筋膜が解剖学にどのように関係しているのかを探求していきます。伝統的な解剖学では、人体の構造は個別の組織や器官に分けて説明されてきました。しかし、最新の研究では、筋膜がすべてを結びつけ、統合する役割を果たしていることが明らかになっています。
これまで筋膜は「単なる結合組織」と考えられ、あまり重要視されていませんでした。しかし、近年の研究によって、筋膜が全身の構造と機能に密接に関わる「統合システム」であることがわかってきました。
2. 解剖学の歴史と筋膜(History of Anatomy and Fascia)
解剖学の始まり
解剖学の歴史は紀元前までさかのぼりますが、本格的に発展したのはルネサンス期です。**アンドレアス・ヴェサリウス(Andreas Vesalius, 1514–1564)**は、解剖学の基礎を築いた人物として知られています。彼は『人体構造論(De humani corporis fabrica)』を著し、それまでの古代ギリシャの解剖学(ガレノスの理論)を覆しました。
しかし、この時代の解剖学では筋膜はほとんど無視されていました。その理由は、解剖の際に筋膜が邪魔な存在とみなされ、剥がされてしまったからです。つまり、筋膜の存在は当初から軽視されていたのです。パデュアの解剖学者(A Man from Padua)ヴェサリウスが活躍したイタリア・パデュア大学は、解剖学の発展に大きく貢献しました。
しかし、この時代の研究者たちは筋膜を重要視しておらず、主に骨や筋肉、血管の構造に焦点を当てていました。カンザスの解剖学者(The Man from Kansas)一方で、現代の筋膜研究に大きく貢献したのが、トム・マイヤーズ(Tom Myers)やロバート・シュライプ(Robert Schleip)らです。彼らは、筋膜を「身体全体をつなぐネットワーク」として捉える新しい視点を提案しました。