
Masashi Sasaki
2025年3月12日
筋膜と神経系(Fascia and the Nervous System)
noteに以下の内容の記事をアップしました。
冒頭をご紹介いたしますので、ご興味ある方は下記のリンクよりご覧ください。
https://note.com/masashi_sasaki/n/n002226d10929?sub_rt=share_pw
1. はじめに(Introduction)
この章では、筋膜と神経系の密接な関係について探求します。筋膜は単なる「構造的な支持組織」ではなく、感覚を伝える機能を持つ組織でもあります。筋膜の中には、多くの**神経受容器(メカノレセプター)**が存在し、体の動きや位置感覚、痛みなどの情報を脳へ送る役割を担っています。
補足:筋膜と神経の関係性• 筋膜には 痛みを感知する自由神経終末 が多く存在する。
筋膜は 筋肉や関節の動きを感知し、適切な姿勢やバランスを調整する 役割を持つ。
筋膜の異常(癒着や緊張)が神経系の誤作動を引き起こし、慢性的な痛みや不調の原因となる ことがある。
この章では、筋膜と神経系のつながりが、どのように身体の感覚や運動に影響を与えているのか を詳しく見ていきます。⸻
2. 「自分の体を失った男」― イアン・ウォーターマンの症例
イギリス人の イアン・ウォーターマン(Ian Waterman) は、プロプリオセプション(固有感覚)を完全に失った人物として知られています。彼は、ウイルス感染によって神経が破壊され、筋肉の動きや体の位置を感じることができなくなりました。
プロプリオセプションとは?
自分の体の位置や動きを無意識に把握する能力のこと。例えば、目を閉じても腕を上げたり、足を動かしたりできるのは、この感覚が正常に働いているから。筋膜はこのプロプリオセプションに関与している。
ウォーターマンは、筋肉そのものには問題がないのに、自分の手や足をどのように動かせばいいのか分からなくなりました。彼が動けるようになるためには、視覚的なフィードバックを活用し、意識的に全ての動作をコントロールする必要がありました。
この症例は、筋膜と神経系がどれほど密接に関わっているか を示す重要な例です。筋膜が適切に機能しなければ、脳は体の位置や動きを正確に認識できず、結果として運動機能に深刻な影響を及ぼします。